レンズフィルターはカメラユーザーにとって最も身近な周辺アクセサリーの一つであり、特定の撮影では必須になることも多いアイテムです。
NDフィルター、偏光フィルター、保護フィルターなど、レンズフィルターには用途別にたくさんの種類がありますが、ここ数年で定番フィルターとして認知されるようになったフィルターとして、「ブラックミスト」フィルターがあります。
今回はこのブラックミストフィルターについて、効果や活用シーン、作例をご紹介したいと思います。
カメラレンズのフィルターで使う「ブラックミスト」とは?
ブラックミストフィルターは、一般的に写真や映像に柔らかく、輪郭をぼかしたような効果を与えるためのフィルターの一種です。
これは、被写体に対して柔らかい光を散乱させたり、光源・ハイライト部分を拡散させて、写真や映像に幻想的でドリーミーな雰囲気を与えるのに使用されます。
ブラックミストフィルターの仕組み
通常、ブラックミストフィルターは、特殊な加工が施されたガラスや光学フィルムで構成されており、これによって光の拡散や散乱が生じます。
フィルターガラスを近くで見てみると、ガラス内に小さな粒のようなものが無数にあることがわかります。
これはゴミやチリではなく、ミスト効果を生み出すための特殊加工となります。
この加工により、明るい部分が周囲にぼけたような効果をもたらし、全体的なコントラストが柔らかくなります。
ブラックミストフィルターの活用シーン
ブラックミストフィルターがよく使用されるシーンとしては、主にポートレートや特有の世界観を演出したいアート性の強い撮影などにおいて使用され、被写体の肌を滑らかに見せ、写真にロマンティックで夢幻的な雰囲気を与えます。
光源があるシーンではミスト効果の効きが分かりやすいでしょう。
解像感をあえて落とすことで夢の中にいるような幻想的な画作りを行うことが可能になります。
ブラックミストフィルターは拡散強度によって種類がある
ブラックミストフィルターは「1/2」や「1/4」などの数値で拡散強度が表記されている場合が多く、1/2では50%の拡散効果が、1/4では25%の拡散効果が得られるという意味になり、数字が大きい(1に近い)ほど拡散効果が高くなります。
拡散強度とは、そのフィルターが光をどれくらい拡散または散乱させるかを示す指標で、拡散強度が高いほど、光がより広がり、写真や映像に柔らかな効果が強調されます。
低い拡散強度のフィルターをつけっぱなしにして、日常的な撮影に自然なディフュージョン効果を与えたり、ポートレートやアート性の強い撮影では、より拡散強度が高いフィルターをつけて幻想性を強調するなど、撮影者は撮影シーンやスタイルに合わせて適切な効果を選択する必要があります。
以下は、PolarPro Shortstache Black Mist/PLフィルターをつけて撮影した作例です。
▼フィルターなし
▼ブラックミスト(1/4)フィルターあり
▼フィルターなし
▼ブラックミスト(1/2)フィルターあり
ブラックミストと他のフィルター効果が1枚で得られるフィルターも
純粋なミスト効果のみのフィルターはもちろん、ミスト効果+αで減光効果や偏光効果が同時に得られるフィルターも存在します。
ミスト + 減光フィルター 一覧
ミスト + 偏光フィルター 一覧
フィルターを2枚以上重ねて装着するとレンズとフィルターの間が厚くなりケラレが発生する可能性も高まりますが、1枚で両方の効果が得られるためそうした悪影響も低減できるというメリットもあります。
高解像度のデジタルカメラによるデジタルシャープネスを柔らかくすることで「写りすぎない」表現を
現代のデジタルカメラは技術の進歩により細部までくっきり解像され、場合によっては「写りすぎる」と感じる場合もあるでしょう。
ブラックミストのような効果を持つフィルターを使用することで、そうしたシャープさを和らげ、どこかノスタルジックで印象的な画作りを行うことが可能になるでしょう。
PolarProのようなフィルターブランドでは一眼/ミラーレスからドローン、iPhone用まであらゆるカメラデバイスに対応するミストフィルターをラインナップしているため、使用カメラに対応したミストフィルターを見つけてみてください。