撮影コンテンツの色味に大きな影響を与えるカメラのホワイトバランス(WB)設定。
ホワイトバランスを撮影環境に合わせて設定することで、画像中の色のずれを補正し、真実に近い色彩を再現することができます。
今回はこのホワイトバランスについて、基本的な知識と調整方法をご紹介します。
ホワイトバランスとは
ホワイトバランスは、撮影時の光源の色に合わせて、白を白として正確に再現するためのカメラ設定で、撮影された画像の色味を正確に再現する機能です。
光源が異なれば被写体の色も変わりますが、この設定を利用することで、見た目に近い色で写真を撮ることができます。
ホワイトバランスが不適切だとどうなる?
ホワイトバランスの設定が適切でないと、白いものが黄色く見えたり、青白く見えたりするなど、色味が自然ではない写真になってしまいます。
光源の色温度の違いや照明条件の変化により、画像中の色が青みや赤みを帯びることがあり、不自然な色味を持った画像になってしまうことが不適切なホワイトバランスの弊害となります。
▼全体に青みがかった写真の例
実際の見え方に近い色にすることが必ずしも正解ではない
実際の見え方に近い色を再現することが基本ではありますが、時には意図的にホワイトバランスを調整し、写真に特別な雰囲気を加えることも表現の一つです。
例えば、暖かみのあるシーンを演出したい場合には、ホワイトバランスを少し黄色がかった設定にすることで、そういった効果が得られます。
ホワイトバランス設定の選択肢
ホワイトバランス設定の最も簡単かつ多くの場合デフォルトで設定されているのは、「オート(自動)」設定です。
オートホワイトバランス(AWB)は、カメラが自動的に撮影環境の光源の色温度を検知し、それに基づいて適切なホワイトバランスの調整を行う機能です。この機能により、異なる照明条件や光源下での撮影でも、白色や中立色が正確に再現され、画像が自然な色合いで表示されます。
また、一般的なカメラには固定ホワイトバランスとして、日光、曇天、蛍光灯、電球といった光源ごとのホワイトバランスのプリセットがあります。これらを選択することで、撮影条件に応じた適切なホワイトバランスに手動で素早く設定することができます。
オート(自動)か固定どっちがいい?
オートホワイトバランスでは、カメラが撮影環境の光源を自動で判別し、最適な色補正を行います。
一方、固定設定を使用する場合は、先述の日光、曇天、蛍光灯、電球といった光源ごとのプリセットによって固定したり、後述の色温度の数値による設定により環境に合わせた細かい調整が可能です。
オートの場合、撮影環境によって自動でホワイトバランスが調整されるため、撮影データによって色味がバラバラになってしまう可能性があります。また、カメラが100%正確な自動調整を行うというわけでもないため、時には不自然な色味になってしまう場合もあるでしょう。
複数の写真や動画で色味に統一感を持たせたい場合などは、固定にする方が望ましいと言えます。
色温度指定でさらに細かい設定も
色温度を直接指定することにより、さらに細かいホワイトバランスの調整が可能です。色温度はケルビン(K)という数値で表され、低い値ほど暖色、高い値ほど寒色です。
注意したいのは、カメラの色温度設定は光源の逆の性質の色を補完し相殺するための設定になるため、数値(K)を上げれば上げるほど暖色に、下げれば下げるほど寒色になるという点です。
寒色寄りになればなるほど画像は青みがかった色になり、暖色寄りになればなるほど画像は赤みがかった色になります。
例えば、日中の自然光は比較的高い色温度(約5000K〜6500K)を持ち、白熱電球のような光源は比較的低い色温度(約2700K)を持っています。
これら光源の色温度を打ち消すようなホワイトバランス設定にすることで自然な色味で撮影を行うことができるようになります。
色温度指定をマスターすれば撮影する被写体や雰囲気に合わせて微調整ができるため、撮影の幅が広がります。
ホワイトバランスをコントロールして表現の幅を広げよう!
ホワイトバランスの適切な調整により、写真の印象は大きく変わります。自然な色での再現はもちろん、意図的に色温度を変化させることによる表現の幅も広がります。
撮影の目的に応じて、ホワイトバランスを上手く操作することで、より印象的な写真を撮ることができるでしょう。