カメラ撮影においてシャッタースピードは最も基本的な知識の一つであり、少し写真や動画撮影が上達していくと必ず学ぶことになる必須知識です。
シャッタースピードは写真と動画では設定意図が異なり、それぞれどういう場合に、どういう意図でこのシャッタースピードを設定するのか、という知識をつけることは、作品のレベルアップにも繋がります。
今回は「 動画におけるシャッタースピード」に焦点を当て、基本的な考え方や適切な設定を解説していきたいと思います。
そもそもシャッタースピードとは?
シャッタースピードとは、撮影時にカメラのシャッターを開いて光を取り込む時間のことを指し、1/1000秒、1/250秒、1秒などの数値で表されます。
数値が小さいほどシャッタスピードが「速い」設定となり、動く被写体をブレずに捉えることが出来ますが、光を取り込む時間が短いため暗い画像になります。
逆に数値が大きいほどシャッタスピードが「遅い」設定となり、光を取り込む時間が長いため明るい画像になりますが、ブレが発生する可能性が高くなります。
動画撮影におけるシャッタースピード
光量が十分にある環境で撮影をする場合は、適正露出になるまでシャッタースピードを速くすればいいのではないかと考えてしまいますが、動画においてはそうもいきません。
下記の動画はシャッタースピードを上げて適正露出にした上で噴水を撮影した動画ですが、水飛沫がパラパラとした不自然な映像になっていることがわかります。
対して次の動画は、光量を減少させるNDフィルターを装着し、適切なシャッタースピードで撮った同じ噴水の映像です。適度な残像感によって自然な映像になっているのが分かります。
このように、動画の場合は程よくブレを発生させることで静止画と静止画の間が綺麗に繋がり、滑らかな映像になることでより自然に見える、というのが基本的な考え方になります。
シャッタースピードを考える上で理解しておきたいフレームレートとの関係性
では、動画撮影における「適切なシャッタースピードの設定値」というのはどのようにして決められるのでしょうか。
そのヒントになるのが、シャッタースピード設定の原則を理解する上で切っても切れない関係にある「フレームレート」です。
そもそも動画は連続した静止画で構成されており、フレームレートとは、動画1秒間が何コマの静止画で構成されているかを表します。
30fps、60fpsなどfps (= frames per second)の数値で表され、30fpsであれば1秒間の動画に30枚の静止画が含まれていることになります。
数値が大きいほど1秒間に多くのコマがあり、いわゆるヌルヌルした滑らかな映像になります。またシネマティックと呼ばれる動画スタイルでは、映画で採用されることの多い少しカクカク感を感じる24fpsの映像が標準とされています。
動画撮影での適切なシャッタースピードの一つの基準として用いられるのが、「 フレームレートの2倍」の設定値です。例えば、30fpsなら1/60、24fpsなら1/48、と言った具合です。
適切なシャッタースピード = 1/フレームレートx2
日中外での撮影で適切なシャッタースピードにするのは難しい
一般的な認識として、晴天時の日中屋外での撮影など光量が十分にある環境下での撮影ではフレームレートに合わせて適切とされるシャッタースピードに設定すると露出オーバーになってしまうことが普通です。
そういう場合に必要となるカメラアクセサリーが、レンズの先端に装着し減光効果をもたらす「NDフィルター」です。
NDフィルターについては下記の記事で詳しく説明しています。
まとめ
動画撮影においては、程よくブレを発生させることで滑らかな映像になり自然に見える、というのが基本的な考え方になり、シャッタースピードの適正値は、撮影する動画のフレームレートの2倍が基準となります。
光量が十分にある環境下での撮影では「NDフィルター」を使用して光量を落とすことでシャッタースピードをコントロールすることが一般的です。
クリエイターのみなさんは、是非シャッタースピードの知識をマスターして、映像のクオリティーを高めてみてください。